アニメ『後宮の烏』を見て、原作も少しずつ読んでいる今日この頃。
謎めいた烏妃・寿雪。果たして、彼女の正体は?
彼女を取り巻く人物との関係性も気になります。
この記事では『後宮の烏』に関する作者・白川紺子さんのツイートをまとめさせていただこうと思います。
Contents
作者の方が参考にしていらっしゃる本
時々編集さんや読者さんに「後宮の烏を書くうえで参考にしているものはありますか?」と訊かれるのですが、参考にもしているしそれ以上にとても好きでおすすめしたいのが、一に岡本綺堂『中国怪奇小説集』、二に『楚辞』(古代中国・楚の詩歌)です。
楚辞は万葉集が好きなかたはお好きだと思います。 pic.twitter.com/DUCCv63vqT— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) January 31, 2020
六朝の志怪小説や唐代の伝奇小説が好きで、原稿の最中にふと確認したいことがあって読みはじめると、読む速度が遅いのもあって、気づいたら半日くらいたっています。でも後宮の烏は、こういう話が書きたいなあと思って書いているので、まあいいかとポジティブに捉えています。〆切にさえ間に合えば。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) June 9, 2021
『後宮の烏』の神話観
後宮の烏こぼれ話②後宮の烏と神話
〈海の民にとって、空は上にあるものではなく、海に横たわるものだ。〉
――『後宮の烏3』P187後宮の烏の神話観は、この一文に凝縮されています。 pic.twitter.com/yRJdAZVUCh
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) November 18, 2019
『後宮の烏』の世界観について
後宮の烏は中華のようで中華でない世界観で、なおさら大変だったと思います。龍や鳳凰はいないし、儒教も道教もなく、章服制度も十二章もない、お手本があるようでないので…(あるのは対の概念です)
そのぶん、自由にしていただきたいと思っております。アニメならではの世界を見るのが楽しみです。— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) April 15, 2022
地図について
ちなみにアニメでいちばん驚いたのは、OP初っ端に私の描いた地図が出てきたことです😀
あれは原作3巻の際に描いたものですが、そもそもそのまま掲載されるとは思いもよらず(デザイナーさんがあれを元に新たに描いてくれるものだと)、さらにはアニメにまで進出しようとは。人生わからないものですね。— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) May 25, 2023
夜明宮という名前について
故あって中国古代の伝奇小説を読み返しているのですが、今に通じるあらゆるエンタメが詰まっていて、改めて面白いなあと思いました。ちなみに後宮の烏に関していうと夜明宮という名称は唐代の伝奇小説『博異志』「許漢陽」に出てきます。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) April 19, 2022
飛燕宮の木香薔薇について
今日は父の三回忌でした。写真は実家の木香薔薇。父が育てていたものです。飛燕宮に何か花を添えようと思ったさい、まず浮かんだのがこの実家の木香薔薇でした。アニメで飛燕宮の木香薔薇を見たときには、感慨深いものがありました。 pic.twitter.com/Q1iYln2PPc
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) October 30, 2022
『後宮の烏』の原点といえる作品
9/16【新装版】『朱華(あけ)姫の御召人』発売予定です。こちらは2014年にコバルト文庫より刊行されたものの復刊です。よろしくお願いします。
※内容は変わっておりませんので、コバルト文庫版をお持ちのかたはご注意ください。 https://t.co/AitzlUTUKg— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) August 18, 2022
8年も前なんですね……それが復刊されるのはありがたいです。『後宮の烏』とおなじ世界観といいますか、原点となる作品で、これがなかったら『後宮の烏』は生まれませんでした。懐かしい。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) August 18, 2022
旧版の朱華姫が出たのが8年前の2014年、懐かしく思います。まさか8年後に新装版が出るとは、想像もしておりませんでした。
後宮の烏と共通世界観ですが、あちらの神様は烏や海亀、朱華姫では海蛇です。島によって伝わる神話は違ったりします。国生み神話を考えるのが好きです。— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) October 20, 2022
ちなみにこの世界に神様の上位たる「天」の思想はありません。島国なので。天↓地ではなく海→陸という感覚です。天は海の延長のような感じです。この辺すこし書いたのが後宮の烏3巻です。海隅蜃楼については、そのうちどこかで書きます。あの世界の神様はだいたい蛇です。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) October 20, 2022
アニメOP映像がまさに「海→陸」という感じを表してくださっていて、はじめて見たとき感動しました。神様は海の果てからやってきます。 https://t.co/Psctn10V3h
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) October 20, 2022
小説の表紙のイラストについて
1巻
韓国版『後宮の烏』の見本をいただきました。
すでに発売中のようです。文庫本よりサイズが大きく、紙質がマットで綺麗です。
よろしくお願いします。 pic.twitter.com/opF1RAH38H
— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) August 5, 2020
私、このツイートを読むまで表紙に高峻がいることに全く気づいていなかったんです……。節穴にもほどがありますよね。
韓国版だとタイトルが少し高峻にかからないようにしてあるので、それをみてあれ??と。恥ずかしい。
5巻
12/18発売『後宮の烏5』
装画は香魚子さんです。
今回は、ストーリーに合わせて、寿雪のとても細やかな表情を描いてくださいました。
まだこの画像ではわからないかもしれませんが、拡大すればするほど、言葉に尽くせぬ細やかさが表現されていて、素晴らしいです。よろしくお願いします。 pic.twitter.com/1hcnABT6pi
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) November 23, 2020
6巻
表紙が出ておりました。装画は香魚子さんです。相変わらず感嘆ものの美しさ。左側に描いていただいたのは香薔です。
『後宮の烏6』は8/20発売予定です。
よろしくお願いします。 pic.twitter.com/FkyNXe5YbM— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) July 22, 2021
7巻(最終巻)
まだ小さな画像しかないのですが……
このカバーを見せていただいたとき、しばらく胸がいっぱいになって言葉が見つかりませんでした。
香魚子さん、最終巻らしい、すばらしい絵をありがとうございます。後宮の烏7、4月21日発売です。
よろしくお願いします。 pic.twitter.com/a25YURDfTm— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) March 18, 2022
4/21発売です。よろしくお願いします。
最終巻も香魚子さんが美しい装画を描いてくださいました。ぜひ一巻の表紙と見比べてください。私はもう胸がいっぱいです。
後宮の烏 7 | 白川 紺子 | 集英社 オレンジ文庫 https://t.co/kzMJHESv6e pic.twitter.com/8jHbQQvEAa
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) April 2, 2022
1巻と並べるとこうです
寿雪……! pic.twitter.com/bSae8bOdJI— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) April 2, 2022
寿雪と九九
かわいい…!🥰
小説でも九九と寿雪の身支度シーンは書くのが楽しかったです。シリアスな話のなかのオアシスでした。#後宮の烏 https://t.co/UG4Gkdg2O3— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) February 9, 2023
温螢(おんけい)について
温螢の温は古代中国・蘇国の都・温から。
古代中国がお好きなかたは、登場人物たちの名前から作者は春秋時代の晋が好きなんだろうかと思われるかもしれませんが、正解です(べつのところから来ている名前もありますが……)。人物としては楚の共王が好きです。二番目に好きな歴史上の人物です。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) June 22, 2020
音螢と淡海について
このふたりは書くのがとても楽しかったコンビです。
正反対のように見えて根っこは同じ、たぶん私は「利発だけれど利口には生きられない」というひとを書くのが好きなのかもしれません。#後宮の烏 https://t.co/YLPoYryJM8— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) November 24, 2022
目、温螢は一重、淡海は二重なんですよね。温螢は、当初から絶対に切れ長の一重!と決めておりました。ミステリアスでいいなと。淡海は人懐こい二重。#後宮の烏 https://t.co/arPTbtLReE
— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) December 9, 2022
作者の方のお気に入りキャラ
羽衣はかなりのお気に入りキャラです。
お爺さんキャラが好きなので、永徳、魚泳、慈恵、みんな好きです。いちばん好きなのは魚泳。 https://t.co/fjkkEHyJ9f
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) November 1, 2022
ネタバレを避けようと思うとこの辺なかなかズバリ言及できないのですが、羽衣はあの世界における宦官の起源だとか存在する意味だとかを体現してくれているキャラですね。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) November 1, 2022
6巻の登場人物について
後宮の烏6の話、持衰は魏志倭人伝に出てくる言葉で、衰というのは衰てつという喪のさい身につける麻の呪飾のこと、ようは喪人(喪に服してる人)のように精進潔斎してる人という意味です。持衰の物語はそのうち書いてみたいと思っています。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) February 8, 2022
原作とアニメで違う部分について
「花笛」は原作では「はなふえ」なのですが、アニメでは「はなぶえ」です。これは耳にしたとき後者のほうが意味が通りやすいだろうと、そうしてくださってます。細かいことまで吟味なさっていることに驚いたのと、それを都度こちらにいいかどうか確認してくださる姿勢にありがたく思った一件です。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) October 17, 2022
アニメ化について
遅ればせながらアニメ後宮の烏一話を拝見しました。もうぜんぶがすごくて感嘆……絵、色、表情、声、音楽、背景等々すべてにこだわりを感じます。どれほどの熱意と努力であの映像の世界を作り上げてくださったのか、それが伝わってきて胸が熱くなる思いです。携わった皆様に改めて感謝申し上げます。
— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) October 4, 2022
最終的にやはり「感謝」という言葉でいっぱいになります。アニメに携わってくださった皆様に感謝したいのと、アニメを見てくださった…といいますか最後まで見守ってくださった、見届けてくださった原作読者の皆様やアニメ視聴者の皆様、ほんとうにどうもありがとうございました。
— 白川紺子🌊7/14海神の娘🌼5/10花菱夫妻2 (@koukoshirakawa) December 28, 2022
小説版のラストについて
ちなみに、後宮の烏は7巻か8巻ぐらいで完結する予定です。(私のなかでは)ハッピーエンドです。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) December 21, 2020
8/20『後宮の烏6』発売予定です。
よろしくお願いします。7巻で完結の予定なので、そこまで駆け抜けようと思います。大団円になるよう、がんばります。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) July 15, 2021
ハッピーエンド至上主義ではないのですが、物語が閉じても登場人物たちの人生がそこでふつりと終わるわけではなく、ずっとそのなかで続いてゆくので、なるべくその後が幸多い人生になるようにと思って書いております。なので、ホッとしていただいたり、よかったと思っていただけると、私も嬉しいです。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) June 2, 2022
ラストまでのネタバレはないようですが、5巻までの内容は含んでいるのかも?という。私も最終巻まで読んでいないので、薄目でしか内容を読んでおりません。↓
少女小説に造詣が深いライターの嵯峨景子さんが6巻発売時に書いてくださった記事です(嵯峨さんが教えてくださいました、ありがとうございます!)
物語の芯をよく捉えてらっしゃる……嬉しいです
よろしければご覧になってくださいhttps://t.co/pppgRWnpyx— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) May 10, 2022
寿雪たちの物語はここで終わりますが、ほかの島々の物語を執筆中ですので、刊行の際にはまたお知らせいたします。
— 白川紺子9月10月新刊発売 (@koukoshirakawa) April 20, 2022
>「後宮の烏」と同じ世界の、霄から南へ海を隔てた島々の婚姻譚。
とのこと。ぜひ読まねば!