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ドラマ『盤上の向日葵』特に1話が素晴らしかったという話

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

2019年に初回放送、2020年に再放送されたドラマ『盤上の向日葵』。

見よう見ようと思って録画して、そのまま2年経過。

ようやく見てみたら、特に1話が良かったのでもし機会がありましたらご覧頂きたいな、と。

1話があるからこそ最終話までグイグイ引き込まれた、という話です。

 

ネタバレなしのあらすじ

元IT企業の社長という異例の経歴を持つ棋士・上条桂介。

上条は竜昇戦というタイトル戦で、6冠の壬生と対決しようとしていた。

同じころ、埼玉県の山で白骨遺体が発見される。胸のところに箱を抱えており、その中身は江戸時代の名匠が作った将棋の駒だった。

殺人事件を追うのは若手の女性刑事と、ザ・デカ(絵に描いたようなベテラン)の中年男性刑事。女性刑事は、かつて奨励会に属しプロ棋士を目指していた過去がある。

遺体の身元は誰なのか?なぜ価値のある駒を持って埋められていたのか?

駒の行方の捜査とともに、竜昇戦の対局も進んでいく。

 

ここがおすすめ

将棋の話ではありますが、将棋のことをまったく分からない私でも堪能できました。

もちろん、分かっていたら、よりその一手がどんな意味を持つのか分かって面白いんだとは思いますが…。

殺人犯は誰なのか?その動機は?捕まるのか、捕まらないのか?ハラハラどきどき。

かつ、1人1人が選択したその先にあるもの、出会いの先にあるものが心に響きました。

若手とベテラン刑事のやりとりも面白かったですし、何より1話の話の展開が素晴らしかったので(そればっかり)個人的にはおすすめです。

 

原作

原作では、刑事の佐野が男性とのこと。

 

ドラマ公式ホームページ

<phttps://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=5835>

 

主題歌

『ポラリス』 歌;鈴木雅之 作詞作曲;アンジェラ・アキ

 

 

どこで見られるのか?

2022年5月現在、NHKオンデマンドで見られます。

1話ずつレンタルすると220円(税込)。まるごと見放題パックですと月額990円(税込)。

『盤上の向日葵』だけを見るのであれば単品レンタルの方がお安くみられるようです。

 

登場人物(ややネタバレを含む)

 

棋士  
上条 桂介(かみじょう けいすけ) 東京大学卒でIT企業を立ち上げるも、突如引退。奨励会に属さずに特例試験を経てプロ棋士になる。現在、六段。33歳。
壬生 芳樹(みぶ よしき) 竜昇戦で上条と対戦する相手。24歳で6冠を手に入れている。竜昇。
警察関係  
佐野 直子(さの なおこ) 奨励会に属しプロ棋士を目指していたが、現在は所沢北署地域課に勤務する警察官。巡査。
石破 剛志(いしば つよし) 埼玉県警捜査一課の警部補。
鳥井 樹 所沢北署刑事課。佐野のことを下に見てる嫌な刑事。
五十嵐 智雄 埼玉県警刑事部管理官
諏訪  
上条 庸一(かみじょう よういち) 桂介の父親。みそ蔵で働く。妻を亡くしてから荒れている。
唐沢 光一朗 元校長。
唐沢 美子 唐沢の妻。現在は、夫と一緒に老人ホームに入所している模様。

 

 

<div class=”concept-box2″><p>ここから先は完全にネタバレです。1話だけでなく、すべてのネタバレを含みます。未見の方はご注意ください!</p></div>

ネタバレ時系列

ドラマに出てきたことを時系列に並べ直しました。

1話   母と、ひまわり畑に立つ上条少年
1話 昭和46年 諏訪。新聞配達をしている上条少年。唐沢と出会う。
1話   諏訪湖近くの温泉で、初めて先生以外の人と将棋をする。
1話   父親から暴行を受けていることを知った唐沢は、なんとしても少年を助けようとする。
1話 昭和48年 春 先生と将棋を指す上条少年。盤上の向日葵が次に指す手を教えてくれるという。
1話   上条少年を東京の奨励会へ入会させることを決心する唐沢。
1話   しかし実父の泣き落としにあい、奨励会へ入ることも、唐沢の養子になることもなかった。
1話 昭和59年 上条は東京大学を卒業後、ソフトウェア会社を立ち上げる。
1話 平成元年 上条はITベンチャーの旗手となる。
1話 平成3年 上条は突如引退し、プロ棋士を目指す。
1話   上条はアマチュアのタイトルを総なめ。アマチュア王棋位獲得によりプロ公式戦に参加。プロを相手に新人王戦で優勝。当時30歳
1話   上条はプロ棋士になるための特別試験も突破し、戦後初の奨励会を経ないプロ棋士になる。
1話 平成6年7月30日 第29期 竜昇戦 第1局 上条は初のタイトル戦に挑戦。盤上の向日葵に導かれるように打った一手が勝負を決め、上条が1勝する。
1話   同時刻、埼玉県の山中で将棋の駒箱を抱えた遺体が発見される。
1話   駒は数百万の値段がついてもおかしくない、江戸時代中期の名工である初代・菊水月(きくすいげつ)作のものと判明。元奨励会員で新人刑事の佐野と、ベテラン刑事の石破が駒の捜査にあたることに。
1話   竜昇戦第二局 浜松 封じ手により、対局は翌日へ持ち越し。

 

上条の生い立ち

小学2年のときに母と死別。母は心を病んでいたようだ。ある朝、起きると母は亡くなっていた。
↑のちに、庸一から母は実は自殺したこと。自分は実の父ではないこと。実父は母の4つ年上の兄だと教えられる。実父は妹(上条桂介の母)を妊娠させたことが原因で自死。母は、段々と兄に似てくる桂介を見て次第に心が壊れていく。
信濃新報の新聞配達をして家計を助ける。父親はみそ蔵で働いている。父は母が死亡してから荒れて、酒で寂しさを紛らわし、毎晩のように雀荘に入り浸っている。
一人ぼっちの少年は、将棋を独学で覚え、ダンボールで自作した将棋で遊んでいる。
唐沢と出会ったのは南小4年生のとき。生活費を稼ぐため、新聞配達をしている。真面目で、大人でもきつい仕事を休んだことがない。
毎日同じ服を着て、お風呂にも入れないため嫌な臭いがすると小学校の同級生からいじめられている。
元校長の唐木が、新聞配達をしている上条少年に目をかけ、将棋を教えてくれることになる。
諏訪湖近くの温泉へ唐沢が連れて行く。なかなか洋服を脱ごうとしない上条。実は父親から暴力をふるわれ体中にアザができ、腕にはタバコを押し付けられた跡が何箇所もできていた。
 

 

佐野の過去

将棋連盟の矢萩充氏が、佐野のことを覚えていた。
対局中の佐野。自分のさした一手に、相手がにやりと笑う。
仙台へ電車での移動中、将棋の夢を見てうなされる。3二金とか、詰めろとか うわ言をいっていた。
一貫して、自分は将棋が弱かったから辞めたのだ、と石破に説明する。

 

プロ棋士になるための条件

通常、プロ棋士になるためには奨励会に入り26歳までに四段に昇段しなければならない。

『盤上の向日葵』では、将棋連盟が特例中の特例で上条にプロ試験を受けさせたという設定。

 

将棋の駒について

ドラマに出てくるのは「水無瀬島黄楊根杢(みなせしまつげねもく)盛り上げ駒」。

最初にこのセリフを聞いたときは、もう何のおまじないなのかな?と思ったぐらい。

駒には材質、書体など色々種類があるそうで。

将棋連盟の公式ホームページには、綺麗な駒の持ち方とか、初心者向けに作られた文字のない将棋駒の話とか、色々面白いページがありました。

 

佐野「発見された駒みたいに文字を漆で盛り上げた駒はプロの公式戦以外ではめったに使われません。私はその盛り上げ駒を指したことが一度もありません。弱かったんです。将棋が弱かったから辞めました」

将棋の魅力に惹かれていく石破

初対面の佐野に対し 「駒遊びにうつつ抜かしてるようなやつにデカが務まんのかねえ」
石破の将棋の知識 動かし方ぐらいは分かる。上条が今注目されている棋士だというのは知ってる。「駒遊びで金もらえるなんてよ楽な商売だな、ったくな」
うなされていた佐野に対し 「まったく将棋指しってのはあれか?寝てるときも将棋のこと考えてんのか?」「違います。タイトル戦に臨むような棋士は私とは全く違う生き物です。上条六段は怪物です」
   

 

私の好きな佐野と石破のやりとり

 

「いつもはこわもて一本槍なのに捜査の時には相手の自尊心をくすぐったり、下手に出たりもされるんだなあと」

「あのなデカってのは聞くんじゃねえんだよ。相手に語らせんのが仕事なんだよ」

「佐野、今すぐ調べてほしいことがある。これから訪ねる土地の……名物と駅弁。」「え?」「仕事先で酒飲めねえだろう。食いもんぐらいしか楽しみねえんだ」
 
 

 

作中に出てくる食べ物

鎌倉 葛切り。石破だけ食べている。
車中 仙台へ向かう電車内で牛たん弁当。石破だけ食べている。
   

 

天木山男性死体遺棄事件について

遺体所の状況

人骨は死後およそ3年が経過している
シャツには鋭利な刃物で刺されたと思われる裂け目が複数あり、肋骨にも傷があったことから、腹部を刃物でめった刺しにされ殺されたと考えられる
発見場所は埼玉県所沢市上馬の山中
被害者の本籍、住所、職業、氏名は不明
性別は男性と思料される
年齢は40〜60代
推定身長は165センチ程度
110番通報は平成6年7月30日 午後3時15分。通報者は斉藤一男(52歳)建設現場の測量中、土中から白骨の骨が出ているのを発見

身元不明人をリストから当たるも該当者なし。

その後、上条が事件を報じる新聞記事を読んでいるシーンがあるんですけど、通報者とは別の人の名前があったり、発見は午前9時15分だったり、そもそも発見日が7月31日になっていて、あれ?という。

遺留品

凶器と思われる短刀 血痕や指紋はなし
シャツ、ズボン、履物 いずれも量販品で売られているもの
将棋の駒 箱に入っていたため保存状況がよく、指紋が1種類検出された。データベースと照合するもヒットせず。江戸時代中期の名工である初代・菊水月(きくすいげつ)作の大変貴重な駒であり、持ち主の特定ができるかもしれない。

 

駒は遺体の肋骨あたりから発見されたため、
① 遺体が胸元に握りしめていた
② 遺体を遺棄した人間が胸に抱かせたまま埋めた と考えられる。

駒を追って全国各地へ

初代・菊水月は同じ種類の駒を7組作っている。

1.山形県天童市の資料館 昭和33年
2.東京都御蔵島の美術館 昭和34年
3.富山県高岡市 昭和34年
4.京都府京都市 昭和34年
5.広島県広島市 昭和35年
6.東京都千代田区神田 昭和35年 丸吉碁盤店
7.宮城県仙台市 昭和35年 佐々木喜平商店

 

その所在地を1つ1つ訪ねる石破と佐野。

鎌倉 駒の研究をしている日本将棋連盟の矢萩充氏を訪ねる。
  (全部自分の目で見ないと信じない、という石破のセリフがあるので、山形、富山、京都、広島にも行った?)
東京 東京千代田区にある丸吉碁盤店のものも初代菊水月の作品に間違いなかった
仙台 残る1つを確かめるために仙台へ。

 

なぜ遺体と一緒にあったのか?

もし埋葬品と考えるなら、埋められた人間に敬意を抱いていた。共に葬られるに値する人は名人をはじめとするタイトル保持者クラスだと考える佐野。

 

ところで、死体と遺体の違いって

この感想を書くに当たり、はて死体と遺体って何が違うんだろう?なんてことが気になりまして。

 

出会いが素晴らしい

先生との出会い

上条少年のことを気にしている元校長の唐沢との出会いが、彼を大きく変えてくれました。

食事や風呂に誘っても素直には応じないだろうと思う唐沢は、上条少年が将棋を好きなのかも知れないと考えます。

まずプレゼントしたのがマフラー。

「頑張ってる君に、おじさんからのご褒美だ」

そして、この間欲しがっていた将棋の雑誌を上げるから日曜日おいで、と誘うのでした。

まったく唐沢と目を合わせない上条少年が、将棋の雑誌のことを言われて、ちょっと視線があがり、最後坂を小走りに下りて行きながら、ちょっと唐沢の方を振り返って。

すごく離れてから、嬉しそうにマフラーを触る少年。初めて見せる笑顔。この子役さん、本当に上手だったなぁ。大江優成さんと言うのね。で、『カルテット』にもでてた子かー!

そして、初めてダンボールじゃない将棋で、初めての対局。嬉しかっただろうなぁ。しみじみと駒をながめてましたものね。

そして完敗。

実は唐沢、アマチュア四段の腕前でした。

「あなたも手加減してあげたらいいのに」と妻に言われ、「勝負は勝負だ。手を抜いたら相手に対する非礼になる」。

先生が教えてくれた将棋に関すること

「将棋は心と頭を強くしなければならない。じゃあ心を強くするには、どうすればいいと思う?

答えはね……風呂に入ることだ。

うそじゃないぞ。将棋はいらだったり焦ったりしては実力が出せない。100%の力を発揮するためには緊張から解き放たれる方法を身につけておかなければならない。そのためには!風呂に入るのが一番なんだ。ははっ」

先生は、お風呂にも入れない上条少年を、将棋のために必要なんだよ、といって誘い出してくれました。このときの、檀ふみさんの笑顔も素敵でした。

この後、温泉の脱衣場で上条少年が父親から暴行されているあとを見てしまった先生のね、もう、なんともいえない表情がね。うう。

その場にいる人には、転んで怪我をしたんですよ、アピールしてあげてね。ううっ。

お風呂上がりには、たぶん先生の奥様が準備してくれた真新しい洋服を着ている上条少年ね。うう。

そして、お風呂上がりの広間。

「今日も容赦しないぞ」という先生と一局。将棋好きの人が、わらわらと寄ってきて。「坊主、頑張れ!」「まだ勝ち目はある、諦めんな」とワイワイガヤガヤ。

しかし、ここで上条少年は痛恨の一手。

二歩(にふ)をはなってしまう。

「反則負けだな」という先生。

二歩というのは、こちらに説明がありました。同じ縦のラインに2つ”歩”があってはいけないんだそうで。

先生以外の人と将棋をする

反則負けをしてしまい、しょんぼりしている上条少年の前に「坊主、俺と指さねえか?」と声を掛けてきた男性。

頭からすっぽりとタオルをかぶり、視聴者からは顔が見えません。

男性に勝ち、嬉しそうな上条少年。

荒みすぎた父親

妻・春子を亡くし、その寂しさから酒を飲み夜は雀荘から帰ってこない。

そもそもが、他人の子を宿していても高嶺の花だった春子を抱けるのであれば駆け落ちする価値がある、なんて理由で結婚した男だから。上条少年への愛なんて、これっぽっちもなかったんだなぁ。

もらった飴玉ひとつあげただけで喜ぶ少年の、その気持ちを考えたことなんてないんだろうなぁ。暴力をふるっても、暴言はいても、父親についていくしかない上条少年の気持ち。

先生の養子になる話が浮上した時、息子に「お前は俺の子だ!春子が生んだ俺の子だ!あいつは死んじまった。俺を置いて行っちまった!お前も行っちまうのかよ、桂介!俺を独りぼっちにしてよお〜」なんて嘘までついて、鳴き真似して引き止めて。

社長となり大成功している息子にお金をせびり、借用書まで破り捨てる。息子が殺意を抱くまでに最低な父親。

結局は赤の他人だったこと、母親は自死したことをぶちまけ、呪われた血だと上条に言い捨てる。最悪だ。

さすが元校長先生に「クズが〜!」って掴みかかられちゃうだけある。

でも、最後の最後で、彼が上条を救うというね。

上条の依頼で東明に殺された、と思われていたのに。のこのこ出てきて、息子は自分を殺しかけたこともある奴だから処罰してくれ!なんて直訴したもんだから。

いやはや、見事な展開でありました。

 

心を病んだ母親

春子さんも、子供を産み、一人で生き抜ける自信はなかったんだろうなぁ。だから、自分と駆け落ちしてくれる相手なら誰でもよかったんだろうけど。

どんどん実父(春子の実の兄)に似てくる上条少年を見て心が壊れていったという春子。

どういう思いが交錯していたんでしょうねぇ、大好きだった兄が死んでしまった元凶という思いで上条少年を見ていたのか。愛しい人にそっくりなのに、もうその人は帰ってこないという切なさからなのか。

 

もしも、の世界線

もしも、上条少年が先生の養子になっていたら?

そのままプロ棋士への道をまっしぐら、思う存分将棋に打ち込めたのかもしれない。もっと早くタイトルも獲って……でも、あの父親のことだから。金をせびりに来たかもなぁ。マスコミに、実の兄妹の子であることとか、自分を見捨てたなんて情報流しそうだなぁ。

でも、そうだとしても上条を守ってくれ、応援してくれる人はいそうだから一時だけの騒ぎでおさまりそう。いや、でも上条自身は自分が母親を殺したようなものだと悩む気もするし、いやいや、そもそも上条は何も悪くないわけで……と妄想が止まらないのでした。

 

もしも、上条が東明にプロ棋士になる夢を後押しされなかったら?

ドラマでは社会人になって成功していても、どこか物足りないという上条の描写は特になかったように思えました。ただ、東明が「本当は将棋をやりたいんだろう?」という事で、あぁ、本当は将棋をやりたいんだな、とこちらが察するというか。

東明が自死したとき、上条は警察に通報しても良かった状況なのではないかとは思うんですよね。どこかで自分が父親殺しを依頼したのがバレたら困るという思いもあったんだろうけれど。

まさに死人に口なし。口約束で証拠もないしなぁ、なんて思ってみたり。

原作を読んだらも、もっとこの辺りの必然性が裏付けられるのかも知れないなぁと思いました。

 

 

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うさかめ
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