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マンガ『大奥』第2巻で分かったこと

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

よしながふみさんの『大奥』。

なんとNHKでドラマ化されることが決定したそうで。

果たして何話になるのでしょうね?
今までドラマ10で作られたドラマをざっと見たところ、全7〜10話ぐらいの感じでしょうか。

私が大好きな吉宗様を誰が演じるのか?ドキドキです。

 

『大奥』第2巻の登場人物

 

第1巻では八代将軍・徳川吉宗の時代を中心に描かれました。(マンガ『大奥』第1巻で分かったこと

第2巻では時代がさかのぼり、三代将軍・家光の時代がメインとなり謎の疫病”赤面疱瘡”が始まった頃のお話です。

 

慶光院関係  
万里小路 有功(までのこうじ ありこと) 京にある慶光院(けいこういん)の新院主。将軍・家光にお礼を言うために江戸へとやってくる。公家の血筋である万里小路家の三男。18歳。
明慧(みょうけい) 有功の弟子。自分たちを江戸へ呼びつけた徳川家のことを嫌っている。
玉栄(ぎょくえい) 有功の弟子。子供の頃に両親をなくし有功に育ててもらう。
徳川家関係  
徳川 家光(いえみつ) 三代将軍。31歳。
お福 家光の乳母。帝に拝謁する際、無位無官では宮中に参内できぬため、”春日局”という称号を帝から賜る。大奥総取締。
稲葉 正勝(いなば まさかつ) お福の実子。家光の小姓頭。
村瀬 正資(むらせ まさすけ) 有功のお世話係
澤村 伝右衛門(さわむら でんえもん) 指南役

 

『大奥』第2巻あらすじ(ネタバレなし)

江戸時代、三代将軍・家光の時代に謎の疫病が発生。

若い男性ばかり罹る死の病は”赤面疱瘡(あかづらほうそう)”と呼ばれた。赤面というのは、天狗みたいな赤い顔になってしまうところから名付けられた。

通常は若い男性ばかりかかる病気だが、幼少期から体の弱かった家光は31歳で亡くなってしまう。

家光には世継ぎがおらず徳川家存続の危機。家光の乳母・お福(春日局)が動き出す。

 

家光の死後から6年後、慶光院(けいこういん)の新院主・万里小路有功(までのこうじ ありこと)が京から江戸へとやってくる。

寺の跡目を継いだお礼を家光に言うためだった。

しかし、それは表向きの話。実は春日局には別の魂胆があった。

 

『大奥』第2巻の流れ(ネタバレあり)

江戸城

若い男性ばかりがかかり死に至る”赤面疱瘡”。

一般市民だけでなく、あらゆる階級の男性たちが次々と命を落としていく。そして徳川家光も”赤面疱瘡”によって命を落とすのだった。

愕然とする乳母・お福。

有功、京から江戸へ

家光の死から6年後。

京から江戸へやってきた3人の僧の姿があった。

1人は万里小路 有功(までのこうじ ありこと)。京にある慶光院(けいこういん)の新院主となり、そのお礼を言うため弟子2人とともに江戸へとやってきた。

しかし、自主的に来たのではなく半ば強引に将軍へ挨拶するよう言われたため、弟子の明慧(みょうけい)は徳川家への不満を爆発させる。もうひとりの弟子・玉栄(ぎょくえい)は、今の朝廷には力がないだけの話だと徳川の肩を持つような発言をする。

有功が2人をなだめていると、死人を戸板に乗せて運んでいる父娘が通り掛かる。

有功がお経をあげさせて欲しいというと喜ぶ家族。赤面疱瘡で死んだため、お坊さんも怖がってお経をあげてくれないのだ、と。

娘も頭巾を取って有功にお礼を言うと、髪が不揃いに切り落とされていることに驚く有功。なんでも、若い娘の髪を切り落とし持っていってしまう侍が最近いるのだとか。

兄を亡くし、娘自身も髪を切られたことに優しい言葉をかける有功。

登城

明慧だけを伴い、家光へとお礼を言うため江戸城へ登城した有功。

家光からは初めて関東へ来たのならば観光もかねてしばらく逗留するよう言われるが、有功は新院主として仕事をしたいので京へ戻りたいとキッパリ断る。

春日局は、媚びない率直な断り方を家光が気に入ったから、ぜひしばらく逗留してほしいと頭を下げる。

幽閉、そして気になる噂

逗留せよといいながら、有功たちが外出しようとすると赤面疱瘡が流行しているからと止められてしまう。

家光から連絡があるまで待てと言われ腑に落ちない有功たち。

玉栄は、兄弟子の明慧に最近妙な噂があると打ち明ける。それは大奥には女性ではなく男性が集められているのだ、と。

しかし家光が男色好みという公然の秘密があるため不自然ではないだろう、という明慧。玉栄は、飛び抜けて美しい有功を大奥へ入れようとしてるのではないか……と密かに心配していた。

そして、その玉栄の心配は的中。

数日後、春日局が自らやってくると、有功に還俗して家光の”お小姓”になるよう言うのだった。

春日局、強引に

急な展開に驚く有功たち。しかし、自分たちの帰りが遅いことに京の家族が気づき帝へ申し入れしてくれるだろう。それまで自分は還俗を了解しなければいいのだ、という有功。

しかし春日局は強引に有功を還俗させるべく、3人の遊女たちを有功たちの元へと送り込む。女性への誘惑に負け、一線を越えさせようという魂胆だった。

遊女の一人は小菊(こぎく)といい、まだ仕事を始めて日が浅いのだという。亭主が博打で作った借金の形(かた)に郭(くるわ)へと売られたという話を聞く有功。それでも、このご時世に一度でも女房になれたのはありがたい話だ、という小菊。

菩薩のような女性や…と呟く有功。

夜もふけ、遊女たちを帰そうとする有功。しかし、襖の奥で待機していた春日局は執拗に女性を抱くよう迫る。

さすがの有功も怒りを顕にすると、春日局は明慧を殺すよう部下に命じる。悲鳴をあげた遊女も瞬殺されてしまう。自分が了解しない限り次々と人が殺されること、そして春日局なら本当にやるだろうと絶望する有功。

玉栄は自分は殺されてもいい、有功自身にはさすがに春日局も手が出せないだろうと涙ながらに還俗を止めるが、有功は還俗を決心する。

人を救いたいと願って出家した自分だったが、弟子も遊女の命も救えず、そもそも家の力で院主になれたのだ、と自分の無力さに打ちひしがれる有功。玉栄は自分も還俗し、大奥へ入ると言うのだった。

その頃、小菊と、もうひとりの遊女は死体となり土手に横たわっていた。関わった人間の口封じのため、すべては春日局の指示だった。

半年後

関西でも赤面疱瘡が猛威をふるい、男性の人口は女性の半分にまでなっていた。

髪も伸び、いよいよ登城することになった有功と玉栄。

家光と直に対面した有功は、思わぬ光景に目を疑う。家光は少女だったのである。そして万里小路の”万”を取って、これからは”お万(おまん)”と呼ぶと勝手に決められる。

返事をしない有功に容赦なく扇子で殴りかかる家光。素直に返事をしないと怒って部屋を出ていってしまう。

部屋に残ったのは有功と、稲葉正勝(いなば まさかつ)という人物。

ただし、稲葉は世間では亡くなったことになっており、今は家光の影武者になっていた。家光が公の場に姿を表すときに、家光の声を担当している。

現在、家光を名乗っている少女は家光の落し胤だった。

17年前

それが家光が20歳で将軍となった直後のこと。

実母からは愛されず、乳母である お福は自分のためだと小言しか言わないと愚痴る家光。女性は好きではない、とも。

その憂さ晴らしなのか、城外で辻斬りをするのだと言って家来を慌てさせる。

家来の名は稲葉正勝。正勝は、お福の実の息子であった。

そこへ1人の女性が通り掛かる。

女性では体が細く辻斬りのしがいがない、と残念がる家光。正勝は、女性はたおやかで、うるわしいのがいいのではないかと言い、城へ帰ろうと家光を促す。

しかし、家光は「いや。もっと面白いことを考えついたぞ正勝」そう怪しく笑うのだった。

先程の女性を犯す家光。(最悪)

助けを求める女性から目をそらし「許せ、耐えてくれ」という正勝。そして事後に自分の脇差を女性に渡した正勝。

一年後、乳飲み子を抱いた女性が江戸城へやってくる。正勝の脇差を証拠に、その子が家光の子と認めて欲しいと。

しかし頑なに認めない家光。

家光が認めないため女性と子供は大奥へ入ることはできなかった。しかし女児だったこともあり春日局が屋敷と乳母を手配し、女性は江戸のはずれに住むことになった。

春日局の策略

時は流れ、話は家光死去の場面。

正勝に家光の死を看取った医者を殺させると、家光ではなく正勝が死んだことにするという春日局。

天下統一から30年、まだ虎視眈々と徳川の地位を狙う武士たちに知れれば再び戦国乱世になってしまう。なんとしても、家光が生きていることにしなくてはいけないのだ、と。

春日局は、家光の娘を密かに家光として迎え、お世継ぎとなる男子を産ませる計画を老中・松平信綱へ伝える。

あまりの話に驚いた松平だったが、表向きは徳川家が存続し、政治を自分たちが行えば問題ないだろうと納得。

しかし春日局の策は、それだけではなかった。長崎以外の港を閉じるよう言いつける。表向きはキリシタンの排除などを理由とするが、赤面疱瘡で男性が減少したことが諸外国に知られたら攻め込まれるかもしれない、という理由からだった。

(実際の歴史の動きと、ぴったり設定をあわせてくる、この絶妙さがすごいですよね)

 

春日局の策略は、まだ続く

家光に会いに行ったはずの有功が顔に傷をつくって帰ってきたことに驚く玉栄。

果たして、自分が見聞きしたことをどこまで話すべきか悩んでいると村瀬正資(むらせ まさすけ)と名乗る人物が現れる。玉栄と一緒に、有功の世話係となった人物だった。

有功は実家と寺に自分が無事でいると手紙を届けて欲しいと頼むと、それはできないと断る村瀬。

有功の父親は、息子が出家したときに縁も切れているし、小姓となってくれた方が家の役に立った(どうやら徳川家からお金が支払われたようです)と言っていたこと。

寺の方でもすでに新しい新院主がいると言われ、ショックを受ける有功。

そこへ畳み掛けるように「ここは江戸でござります。薄気味の悪い京ことばを即刻お改めくださいませ」という村瀬。

 

村瀬から報告を受け、さすがに有功もショックだっただろうと満足げな春日局。しかし有功はすぐに笑うと「これからは武家風に改める」と、少しも京訛りのない言葉で返答したと答える村瀬。

面白くなさそうな顔をする春日局。

(この有功の頭の回転の速さ。ここでしょげては、春日局を喜ばせるだけだと咄嗟に感じたんでしょうねぇ。すごいなぁ)

将軍はすでに亡く、四代将軍を生むためだけに家光の娘が将軍として江戸城にいること。

大奥は、世継ぎを生むための”種”として集められた男たちがひしめき、かつ、将軍を守る最後の砦として機能していることを知る玉栄。

この秘密を知ってしまったからには、玉栄も大奥から出られなくなってしまって申し訳ないと詫びる有功。

しかし玉栄は、自分は一緒に大奥へ来なければ殺されていただろうと。自分はまだ死にたくないし、そのためにも有功についていきます、と宣言する。

夜、有功が寝ているとけたたましい足音とともに家光が現れ、「やる」と何かを投げてよこす。その正体は猫。有功は猫に”若紫”と名付け可愛がることにする。

御中臈(おちゅうろう)との顔合わせ

後日、村瀬の案内で有功は御中臈たちに挨拶することになった。

御中臈とは、もともとは将軍の身の回りのお世話をし、将来の側室候補になる女性のこと。しかし今は、家光の婿になるために集められた男性のことを御中臈と呼ぶのだと説明を受ける。

今までは武家の子息たちが集められているが、なかなか家光がイエスと言わないので見た目の美しい有功に白羽の矢が立った模様。

勝田頼秀(かつたよりひで)、和田正隆(わだまさたか)、そして角南重郷(すなみしげさと)と挨拶をする有功。

有功の美男ぶりに驚くも、牽制してくる男たち。(みっともな)

そして、家光は3年前に自分を初めて抱いた男を斬り殺していること。その理由が、抱き方がつまらなかった、自分の体に傷をつけたから、だと聞き驚く有功。

嫉妬のあまり家光のこともけなし始める3人に対して諌める有功。すっかり重郷に生意気だと思われてしまうのだった。

村瀬は、家光が女性ということはまだ極わずかな人間しか知らないこと。有功は家光(男性)の”お小姓”として振る舞うよう注意する。

 

そして始まる戦争

有功がご飯を食べようとすると、お椀の中にネズミの死骸が入っている。

激怒した玉栄が御膳所(ごぜんしょ)へ怒鳴り込むと、そこに現れたのは重郷だった。

重郷は力ずくで玉栄を抱き、有功もいずれ同じような目に合わせてやると捨て台詞を言って去っていった。必ず殺してやる、と密かに決意する玉栄。

後日、今度は部屋に押し寄せると無理やり道場へと有功を連れて行く重郷。

指南役として道場にいたのは、有功の弟子・明慧を斬り殺した武士・澤村だった。

木刀での勝負をすることになるも、有功は一度は仏に仕えた身であり打ちたくないと勝負をしない。そこで澤村は木刀を500回振るように言う。

しかし、城の警護をする人たちは1000回振っていることを知った有功。自分も同じように鍛錬すると言い出す。

やりなれないことに体も悲鳴を上げるが、それでも木刀を振り続ける有功。夕方となり、夜となり、全員が道場を去ったあともひたすら続ける有功。それに付き合う村瀬。

自分は負けん気だけで挑んだのではなく、もう何も考えたくないのだ、そういって床の上で動けなくなる有功。

お見舞い

有功が頬を叩かれ目をさますと、家光が見舞いにきていた。

素振りで倒れるなぞ情けないと言いつつ、でも澤村は褒めていたという家光。

自分の膝に乗ってくる猫・若紫を抱き上げる。そして、猫は可愛いから嫌いなのだと。

小さくてあたたかくて、自分が15歳で生んだがすぐに死んでしまった娘を思い出すのだ、と。

生娘ではなくてがっかりしたか?という家光に、「何をおっしゃいます。母が子を失うはこの世で最も深い悲しみのひとつでござります。…よう耐えてこられました」

その日以降、家光はしばしば有功の部屋を訪ねるようになる。

それを嫉妬する重郷。自分は妾腹の身、家督は継げないが大奥へ入れば将軍の父になれると言われてきたのに、このまま飼い殺しで終わるのは我慢ならない、といきりたっている。

玉栄は、若紫を使って重郷を追い詰めることにする。

玉栄の計略

将軍から賜った猫は”お猫様”であり、怪我などしないように十分気をつける必要がある。

村瀬からそう聞いた玉栄は、重郷の部屋の前にある庭で、重郷の刀を使い若紫を惨殺。怒り狂った家光がお手打ちしようとするも、有功が体を張って止める。

結局、重郷はお猫様を殺した罪で自害することに。

計画通りことが進み重郷への復讐を果たせて密かに嬉しがる玉栄。

最初は有功のことを顔がいいだけの優男だと馬鹿にしていた男衆たちだったが、指南役の澤村が有功を褒めたことで態度が変わり始めていた。

玉栄も大奥で働く男衆たちと打ち解け、色々と会話をするように。そのなかで、指南役の澤村が女性の長い髪を持って帰ってくるときがあるという噂を耳にする。その話を玉栄から聞いた有功は、自分が江戸へ到着した日に会った髪を切られた女性のことを思い出す。

真犯人

有功は若紫の墓をつくり、家光に念仏を唱えて欲しいとお願いする。

念仏を唱えることで、残された人が気持ちを整理し、少しずつ悲しみから立ち直っていくのではないか、と自分の考えを述べる有功。

しかし家光は念仏で救われるのは幸せな人間だけ。念仏を何度唱えても次々と悲しみに襲われる人間はどうすればいいのだ。自分なら念仏など唱えず、仇討ちをして心を晴らす、という。

しかし世の中には仇のないことも起こる、そういう場合はどうするのだ?と問われると、生きるに値しない人間を斬ればいいと事も無げに答える家光。

そこで有功が最近若い娘の髪を切る通り魔がでる話をして、家光が鬱憤を晴らすためにやっているのではないか?と。

家光は有功の視線に負け、自分が澤村に命じてやらせたこと。女性を殺したわけではなく、髪はすぐに伸びるとまったく反省の色なし。

有功は自分の国の民になんてことをするのだ、と諭す。家光は、自分は所詮、次の将軍を生むだけの存在であり、好んで男装をして大奥で息を潜めるようにして暮らしている訳ではないのだと反論する。

髪を切られた女性は、兄が疫病で死に、自分も理不尽に髪を切られたが誰を恨むでもなく健気に念仏を唱えていたこと。

「人はみな己れではどうにもできぬ運命(さだめ)を受け入れて生きているのでございます!」

有功の脳裏に浮かぶのは殺された弟子のこと、小菊の涙。

そして、自分も家光のために大奥へ連れてこられてしまったこと、家光一人が辛い思いをしているのではないと叱責。

 

部屋に帰ってきた有功は、自分が怒りにまかせて家光を責めてしまったこと。自分の中にある黒い気持ちに気づき落ち込む。

心配した玉栄が声をかけると、本当は若紫のことを仕組んだのは玉栄だろうと。気づいていたが、玉栄を助けたいがゆえに黙っていたのだと。

自分は弟子と遊女、そして角南を死に追いやったのだ。玉栄は何も気にすることはない、という有功。(本当は小菊も含め、あの件を知っている人たちは全員殺されていることを知らない有功……)

自分は泥まみれで生きてきたが、あなた様はここにさえ連れてこられなければと有功のために涙を流すのだった。

打掛

結局、大奥の男たちは全員自分を馬鹿にしていると春日局に泣きつく家光。

春日局は、少々懲らしめてやりましょうか、と提案する。

そこで女物の着物と髢(かもじ)を御中臈たちへ届けさせる家光。

化粧をして、女物の着物を着て踊らされる御中臈たちを涙を流して笑う家光。

 

過去

笑いながらも、家光の脳裏に浮かぶのは自分が”千恵(ちえ)”と呼ばれていた子供のころのこと。

美しく優しい母と、優しい乳母に育てられ幸せな時間を過ごしていた千恵。

そこへ突然現れた武士たち。乳母・とよを殺し、千恵を母親から引き離し江戸城へ。(母親の悲鳴が聞こえてることから、おそらく母親も……)

 

江戸城で春日局に髪を切られ、今日からは父・家光の身代わりになるのだと言われ男物の着物を着せられる。

(母は千恵を見て、ふと”若紫”とつぶやくシーンがありました。まさかの”若紫”つながり。猫の若紫は、生まれてすぐに死んでしまった赤ん坊と思い起こし。そして若紫が殺されたときは、突然幸せな人生を変えられてしまった、少女時代の暴力的な終わりを重ねたのでしょうか)

ある日、小姓姿のまま庭へと逃げ出した千恵(家光)。

武士に見つかり犯されてしまう。武士自身は千恵のことを美形な小姓と思っていたところ本当は女性だったので驚くも、久しぶりに大奥で女性を抱けると舌なめずり。

春日局が千恵を探しだしたとき、千恵は相手を刀で刺殺したあとだった。

遊んでやったが、下手くそでつまらぬ上に痛かったので手討ちにしてやった。将軍の体に傷を付けたのだから殺してやったのだ、と。

さすがの春日局も絶句。

しかし、その一回で千恵は懐妊してしまう。生みたくないと泣きつつの出産だったが、生まれてきた女児の姿をみて愛おしいという感情がわく。ほどなく亡くなってしまった子供。

 

現在

笑ってはいるものの、なんという悲しい笑い声だろうと部屋の外で思う有功。

部屋へ入ると、あまりの有功の美しさに興ざめしたという家光。みなを下がらせるが、有功だけは家光の方へと近づいていく。

有功は沢山の人を助けたい、助けられると思って生きてきた。しかし、それが叶わないと分かり自暴自棄になってしまった自分。ただ、自分にはたったひとり目の前にいる家光を、自分にすがってもがき苦しむ家光を救わねばならない、と悟った有功。

(なんと可愛らしい私だけの上様)

そして、自分の打ち掛けを家光にかけ、自分よりもよっぽどお似合いでございます、と。

驚くも、次の瞬間には大泣きして有功に抱きつく家光。

 

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良かった。ようやく家光の心に本心から向き合ってくれる有功に出会えたんですね。ううう。

プライドが高く、好き放題やっているように見えた家光も。実は徳川家のために家族を殺され、女性であることも取り上げられ、望まぬ妊娠、そして死産。

春日局も心から家光を愛しているのだとは思うのですが、やはり前提は徳川家を存続させるため、というところが強いのかな、と。家光は生むのを嫌がってはいたけれど、首尾よく男子だったら、それはそれでいいか、と思っていたのかもしれない、なんて妄想してしまいました。

それにしても玉栄、恐ろしい子。お坊さんの頃から噂話を仕入れたりしてたし、やはり目端がきく感じなんですね。

しかし、その上をいく有功。ちゃんと玉栄の仕業だと分かっていたのが驚きました。しかも、自分が一緒に大奥へ連れてきてしまったからだ、と。

果たして家光と有功は、どんな人生を二人で歩んでいくのでしょうか……。

 

大奥の設定

巷の噂では”大奥美男三千人”と言われているが、江戸城内に仕える男性の数は800名にも満たない。

なお大奥で見聞きしたことは一切他言無用で、それを破ると首が飛ぶことに。

 

お目見え以上

(上様にお目通りがかなう)

上臈御年寄、御年寄、御客応答、中年寄、御中臈、御小姓、御錠口などの役目に分かれる
お目見え以下
(上様にお目通りを許されない)
・呉服の間
大奥中の衣服すべてを仕立てる・御半下(おはした)
お目見え以下の中でも最下位の下男。御三の間(おさんのま)
お目見え以下とはいえ、その中では最も地位が高く旗本以上の子息しか付けない役職。

 

御年寄や御中臈の目にとまって念者(ねんじゃ)念弟(ねんてい)の間柄にでもなれば一足飛びに出世の可能性も?!

御三の間(おさんのま)

着 物 縹色(はなだいろ)揃いの着物と袴を着用。
帯刀も脇差も禁止。(帯刀していいのは”お目見え以上”と”お火の番の者”のみ)
仕 事 ”お目見え以上”の人たちの部屋の掃除、身の回りの世話、配膳など雑用すべて。
猫は”お猫さま”と呼ぶこと。
 

ちなみに、上記の色が縹色(はなだいろ)なんだそうです。

 

御広座敷(おひろざしき)

御三の間のひとつ格上の役職。

呼び名

今までの本名とは別の名前が付けられる。

御中臈(おちゅうろう)

将軍と御台所の身辺の世話係。この中から、将軍の側室がでることになる。

上級職の特権

御年寄や御中臈など”お目見え以上”の上級職に就くと専用の部屋と使用人が与えられる。また、使用人たちからは”旦那”と呼ばれることになる。

 

ご内証の方(ごないしょうのかた)

未婚の将軍と初めて夜伽をする人のこと。夜伽の手ほどきをするという重大な役目ではあるが将軍の体を傷つけた大罪人でもある。そのため、勤めを終えた10日後に内々で打首にされる。

実家には病死と連絡がいき、禄高の加増と十分な見舞金が届けられる。

春日局が決めたという大奥のしきたり。

『大奥』年表

ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください!

①とあれば1巻で出てきた話、という意味です。

  家光(20歳)、将軍となった重圧に押しつぶされそうになる。お忍びで出かけた夜の町で、見知らぬ女性を犯す。
  一年後、女性(お彩)が女児(千恵)を連れて江戸城へ。家光は自分の子だと認めなかったため、春日局が密かに江戸のはずれに住まわせる。
寛永9年 家光が江戸幕府の基礎を確立しようとしていた。
  天然痘に似た症状の赤面疱瘡が江戸で流行。
  家光(31歳)が赤面疱瘡で死去。そのことは、ごく限られた人間のみが知る。11歳になった家光の娘・千恵を家光の代わりにすべく江戸城へと強引に連れてくる。
  15歳になった千恵は”お小姓”と間違えられ、武士に犯されてしまう。望まぬ妊娠をするも女児を出産。生まれてすぐ死んでしまう。
6年後 京より有功(18歳)が江戸へ。女性の髪を狙う通り魔が出没。
  春日局により無理やり還俗させられた有功が登城。家光(37歳)のはずが、少女だったため驚く有功。千恵17歳。
赤面疱瘡が現れてから80年後   男子の人口は、女子のおよそ1/10で安定。あらゆる家業が女性によって行われる。結婚は武士や裕福な商人など限られた人のみに許された特権
    三代将軍・家光以降、将軍職も女性が継ぐ
     
正徳(しょうとく)6年 水野祐之進(ゆうのしん)が大奥奉公に
    5月 七代将軍・家継が死去。八代将軍・吉宗が誕生。
  水野が”ご内証の方”に選ばれ、のちに死罪。(となったのは、表向きの話)
  吉宗は大奥にいた男性のうち容姿淡麗なもの50人に暇をだす。幕府の財政逼迫と、このまま大奥奉公で朽ち果てさせるのは忍びない、という考えから。
  水野の身の回りの世話係だった杉下が、吉宗の身の回りの世話係として御中臈に任命される。
  吉宗は、春日局の命令で大奥で起きた出来事を記録し続けている御右筆頭(ごゆうひつがしら)の村瀬と面会。

なぜ家業を継ぐ者は女性なのに男名を名乗るのか。その連れ合いに女性の名をつけるのか?など、吉宗は常々疑問に思っていた。

村瀬は、春日局が女性だったこと、もとは三代将軍も男性だったと言う。村瀬が書き続けてきた『没日録(ぼうじつろく)』を読み出す吉宗。

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うさかめ
私が実際に見たり、行ったり、食べたりして良かった!おすすめしたい!というものを紹介していくブログです。

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