小栗旬さん主演のドラマ『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係 』。
驚きのラストだった本編から3年後に作られた「贖罪」をネタバレしつつ感想を書きたいと思います。
長くなったので②に続きます。
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Contents
登場人物
役 名 | 俳優名 | 役 柄 |
石川 安吾 | 小栗 旬 | 警視庁捜査一課の刑事。ある事件の調査中に銃で撃たれ、脳内に弾丸が残っている。そのことがきっかけで、死者の姿が見え会話ができるようになる。 |
市倉 卓司 | 遠藤 憲一 | 石川と立花の上司。 |
立花 雄馬 | 青木 崇高 | 石川のことをライバル視している同僚。ただ最近は石川を相当信用している様子? |
比嘉 ミカ | 波瑠 | 警視庁刑事部 特別検視官。検視官のダサいジャンパーを着るぐらいなら辞める、と公言。検死だけでなく、現場の状況も見て推理もする異色な検視官。 |
赤井 | 古田 新太 | 市倉専属の情報屋。表向きはバーの経営者?サイモンとガーファンクルを石川に紹介する。 |
サイモン | 浜野 謙太 | ガーファンクルと一緒にハッカーをしている。 |
ガーファンクル | 野間口 徹 | サイモンと一緒にハッカーをしている。 |
スズキ | 滝藤 賢一 | 裏社会の便利屋。 |
安藤 周夫 | 大森 南朋 | スター玩具社の元社員。8歳の少年を誘拐し殺害するも証拠がなく逮捕できず。 |
小説とマンガ版もあるそうです
小説版も面白かったです!
ドラマスペシャル「贖罪」のネタバレあらすじ
自分を絶対的な悪だという安藤。
少年を誘拐し殺害したものの、まったく罪の意識もない。さらに今後も色々な犯罪を重ねていくつもりだ、という安藤。
証拠が見つからず罪を償わせることができないことに怒りをおさえられず、葛藤したもののマンションの屋上から安藤を落としてしまう石川。
石川は本部から派遣された監察官から任意の事情聴取を受けることに。しかし事実上は容疑者も同然だった。
悪のための人殺しと、正義のための人殺しは何がどう違うのか?執拗に問いかけてくる死者になった安藤。
石川は頭が混乱していて思い出せないから、となかなか事件について語ろうとしない。
久高は正義感の強い警察官が、どのように道を踏み外してきたかも沢山見てきたと石川の上司である市倉にしゃべる。
久高は良ければ現場へ一緒に行ってみないか、と石川を誘う。
現場への道すがら、石川は死者が現れるときの音を聞く。
また安藤が現れるのか、と思われたが石川の目に映ったのは悲しげな女性。自分を殺した犯人を捕まえて欲しい、急がないと自分の身体が処分されてしまうと石川に語りかける。
石川は彼女の願いを叶えるため、事情聴取を拒否すると久高に告げる。
そして彼女が殺された現場へと向かう。
ドラマスペシャル「贖罪」の流れ
エピローグ
人は必ず死ぬ。そして、死は突然やってくる。
僕は死んだ。
そして……生き返った。
「奇跡的に障害は起きていませんが、近い将来この弾がどんな悪さをするか分かりません」という医師の声。
事件捜査中、何者かに銃撃され弾丸が脳内に残ったまま現場復帰した主人公・石川。
なぜか死者の姿を見ることができ、会話までできることに気がつく。
「あんたの頭のなかの弾は人間がいつしか使わなくなった脳の何らかの機能のスイッチを押して幻覚を見させているのかもしれない」という検視官の比嘉ミカ。
「あなたを殺したのは誰ですか?」
事件現場で死者(被害者)から犯人を捕まえて欲しいと言われ、その期待に添えなかったときの無念さ。それでも死者たちは石川の努力にお礼を言って去って(成仏して)いった。
「お前はあっち側の人間になるなよ」という市倉の声。
「絶対的な悪に勝つためには、絶対的な正義になるしかない」という赤井の声。
石川の態度を心配するミカや立花。
「これ以上(自分が犯罪を犯すのを)邪魔をしないでください」「無能なあなたに、たやすく捕まるわけにはいかないんだ」「それが気に入らないなら、あなたもこちら側に来るといい」という安藤の声。
黒田のマンション
※※※※※※※※※※ 以上、本編部分開始※※※※※※※※※※
黒田が家から出てきたところで石川が待ち受けていました。
「今日はなんですか?」と聞く黒田を屋上まで引っ張っていく石川。
そして屋根ぎりぎりのところまで安藤を連れて行くと、
「怖いか?死にたくなかったら自白しろ。証拠を差し出せ!」と叫ぶ石川。
「本当に何も分かっていないですよ、あなたは。あなたは正義のためなら死ねると思っているでしょう?私も同じです。悪をなすためなら死ねると思っています。
でも、あなたと私には決定的な違いがあります。
私は悪をなすためなら人を殺せます。でも、あなたは殺せないでしょう?
この差は永遠に縮まらないんです。それが分かったんなら、もう私のことは諦めてさっさとコソドロでも捕まえに行ってください」
※※※※※※※※※※ 以上、本編部分終了※※※※※※※※※※
急いで安藤のマンションへ走っていく立花。
そこで見たのは、屋上にいる安藤と石川の姿。
エスカレーターがすぐに来ないため、屋上への階段を駆け上がっていく立花。
脅しで安藤を突き落とす真似をしていた石川ですが、動じない安藤に脅しは通じないと諦めました。
「また私の勝ちですね」という安藤。
石川は再び安藤の体を斜めにすると……両手を離しました。
落ちていく安藤。ドサっという音。
恐る恐る下を覗き込むと、そこには安藤が倒れています。
ちょうどその時、立花が屋上に続く扉を開けるのです。石川が下を見ていることに気づく立花。
石川の肩に誰かの手が置かれます。
「こちらの世界へ、ようこそ」
安藤でした。
声を出さずに泣く石川。
しかし実際に石川の肩に手を置いたのは立花でした。
「おい、石川!大丈夫か!おい!」
振り向くと立花だったので驚く石川。
「何があったんだ」という立花に倒れ込んでしまう石川。石川の視線の先には、不敵に微笑む安藤の姿。
タイトル
人は死んだら、どこに行くんだろう?
僕はある事件に巻き込まれ、頭に弾丸を撃ち込まれた。頭の中を半周した弾丸は、脳底動脈のすれすれで止まり、奇跡的に命をとりとめた。
ただ、その弾丸を取り除く手術は困難で僕はしばらくこの弾丸と共に生きていくこととなった。
その結果僕は……死者と話せるようになった。
現場検証
安藤の遺体の側に座る市倉。
ミカが検死に到着し第一声は「石川くんは、どこですか?」と。
「屋上だ」と答える市倉。屋上へ行こうとするミカに「どこに行く!お前は何しにここに来たんだ。友達に会いに来たわけじゃないだろう。まずは仕事しろ」「でも」
「これは俺にとって何より大事な事件だ」
胸アツ。胸アツだよ。開始5分30秒で、こんなにも部下思いな上司の言葉が聞けるBORDER胸アツだよ。
「お前にはしっかり向き合って欲しい。頼む。どっちにしろ今のアイツはまともに話せる状態じゃない」
そう言われて検死を開始するミカ。
屋上
屋上のヘリに腰掛ける石川。それを近くで見守る立花。
「正義のために人を殺した気分はどうですか?嫌味ではなく、単純に知りたいんです。悪のために人を殺すのと、どんな違いがあるのか知りたいんです。やはり正義という高尚なものをなした達成感があるものですか?」と問いかける安藤。
「時間はたっぷりあります。じっくり話し合いましょう」
もう悪霊祓いに頼んで成仏させちゃおう!!(過激派)
「何か話したか?」という所轄の刑事に「まだ一言も」と答える同僚と思しき刑事。
「とりあえず所轄につれてくぞ」と市倉にいいました。
連行される石川。
市倉は石川が横に来たタイミングで肩を掴みました。
「落ち着いて記憶がきちんと整理されるまでは迂闊に口を開くなよ。分かったな」
泣きはらした目の石川。石川はミカの方も見ますが、何も言わずに歩き出しました。
「お前、本当に何も見ていないんだな?」という石倉に「本当です。俺が屋上についたときには、もう安藤の姿はなかったんです。だから、どんな状況で安藤が落ちたのか俺には分かりません」
防犯カメラがなく、ここで起こったことを知るのは石川だけか、という石倉。
今後、石川は本部から派遣される監察官の取り調べを受けることに。市倉は特命チームを作って、この件を調べることになるそうです。
立花は規則で特命チームには入れないので、何もせず大人しくしてるよう市倉に言われます。「いいか、余計なことするなよ。あいつの心証が悪くなるだけだからな」
ミカは安藤が落ちた場所を屋上から確認しています。何か発見があるのだろうか、という目で見ている市倉と立花。
バー
携帯にかかってきた電話にでる赤井。
「新しい動きがあったら、連絡をください」と言って電話を切りました。
バーテンダーは「何かあったんですね。石川ですか?」
「今夜は店を開けなくていい。あの連中を呼び出してくれ」「はい」
ガーファンクルの携帯に”開高”という人物から着信が。
もしかして、バーテンダーは開高という名前だったのですね!
「安吾くんの件でしょ」というサイモンに黙って頷くガーファンクル。
便利屋スズキのところにも開高から電話が。今日はガスの検針する人に化けてるのかな?
「はい、分かりました。何があっても駆けつけます」
警察署の玄関
石川を取り調べるのは切れ者の名物監察官・久高(くだか)喬。
「名物ってことは独特な雰囲気の方なんですか?」という刑事Aに「まあ会えば分かるさ」と答える刑事B。
車から降りてきたのは上下白スーツの男性でした。うむ、確かに。
白スーツって、駅長さんぐらいしか着てるイメージがない私。
警察署内の部屋
「どうです、そろそろ人を殺した実感が湧いてきましたか?私の胸元から両手を離して落とした瞬間の、あの感触が蘇ってきてるんじゃないですか?分かります、私も初めて殺人を犯したときの感触をハッキリと覚えています。どうです?同じ人殺しとして、その感触がどんなものか照らし合わせてみませんか?正義のための殺人と、悪のための殺人の感触にどんな違いがあるのか。話し合ってみませんか?」
うるさい死者だなぁ。
「さぁ、こちらを向いてください。眼と眼を合わせて話し合いましょう」という安藤。
そこへ久高たちが入ってきました。
久高は山崎と村田という部下を連れてきていました。
「こちらの態勢が整い次第、事情聴取を行いたいと思います。もちろん任意の参考人としてですが、ご協力願えますよね?」「はい」
「事情聴取は本部でなく、こちらで執り行なおうと思っていますが問題ないですか?」「はい」「では今しばらくここで待機していてください」
部屋を出た久高は部下たちに準備を始めるよう指示を出しました。
久高は捜査資料が出揃うまでには時間がかかるだろうから、と検死を覗きにいきました。
解剖室
今日も音楽を流し始める部下に「止めてください」というミカ。
検死を終えたところに久高が登場。
「どうですか、何か変わったところはありましたか?」
「頭部の外傷以外に目立った所見はありませんでした」
久高は布をめくり安藤の体を見始めます。
「皮下出血を探しているんですか?転落によって生じたものしかありません」
「もみ合ったり、争ったりした跡は見られないということですね」
「今のところは。もう少し時間がたてば現れてくる可能性もありますが」
「不思議ですね。だとすると、どのような経緯で屋上から落ちることになったのでしょう。あなたはどう思われますか?」
「きちんと検視を行っているかどうか、確認をしに来たんですか?」
「とんでもない。切れ者の特別検視官がいるという噂をかねがね聞いていたので、事件にかこつけてお顔を拝見しにきただけです」
立花が入ってきたので「お邪魔しました。またお会いしましょう」と去る久高。
「今の監察官だろ。お前、余計なこと言ってないだろうな?」という立花に「余計なことって何よ」と返すミカ。
聴取の準備
用意された書類に目を通し始める久高。
石川と安藤の接点は8歳の少年が誘拐された事件だったこと。石川は安藤を被疑者とみなし公務執行妨害で逮捕。しかし安藤からは事件に関わった証拠が何一つでなかったこと。
「転び公妨(ころびこうぼう)による別件逮捕ですか。感心しませんねぇ。ところで、そもそも石川はなぜ安藤に目をつけたんですか?」
転び公妨というのは、
名称の由来は、警察官が被疑者に突き飛ばされたふりをし、自ら転倒または体当たりして対象者に公務執行妨害罪を適用し逮捕することからきている。
〜Wikipediaより〜
確かに。石川は自ら壁に額を何回も打ち付けて流血させ、さも安藤が自分を襲ったかのように言って公務執行妨害で逮捕してましたね。
少年が誘拐されたショッピングモールに出入りする業者から目星をつけたこと。事件発生から別件逮捕まで4日間だったことを報告する部下。
「石川はずいぶん優秀なんですねぇ」
任意の聴取開始
あくまで任意の事情聴取だから答えたくないことは答えなくていい、という久高。
「ただ、積極的かつ自発的に協力してもらえるとこちらとしても大変に助かります。始めてもいいですか?」
屋上で何があったかを話すよう促される石川。
そこへ、キィーーーーーーン。
安藤が現れました。
石川が安藤を殺した証拠は何もなく、石川が自供しなければ安藤が足を滑らせたということで一件落着するだろう。
しかし誇りを持って正義をなしたのなら正直に自供すべきだ。ただし自供し逮捕されたら正義をなすことはできない。
これからも殺された犠牲者の魂を救いたいなら嘘の自供をすべきだ。さて、どうしますか?と聞く安藤。
うるさい死者だなぁ。
「ところであなたが嘘の自供をしたら、殺された犠牲者である私の魂は救われないことになりますね。あなたが何を話すのか、とても楽しみです」
何も話し始めない石川に「どうしました?」という久高。
石川は「何があったのか……思い出せないんです」と久高に答えました。
「迷っているわけですね。あなたはいま真実と嘘の境界に立っている。どちら側に足を踏み出すか、しっかりと見守りますよ」という安藤。
久高は夜も遅いし、明日また話を聞かせてほしいこと。また今夜はここに泊まって欲しいと要求します。
それを受け入れる石川。
ミカの仕事場
ずーーっと立花がいるようです。
ミカ「いつまでここにいるつもり?用事がないなら帰って。邪魔だから」
立花「さっきから何もしないで、ぼーっとしてるだけじゃないかよ」
ミカ「考え事をしてるのよ、単細胞のあんたとは違って」
立花「もう少し居させろよ。他に居場所がないんだよ」
だよねぇ、目撃者でもあるから調査にも加われないし、市倉からは動くなと言われて今回は動けないよねぇ。
立花「お前はどう思う?」
ミカ「何が?」
立花「あいつここんところ、明らかにおかしかっただろう。いつも神経が研ぎ澄まされてる感じで、どっか不安定だっただろう。まるで綱渡りしてるみたいで、少しでもバランス崩したらどっかに落ちていきそうだった」
ミカ「何が言いたいの?石川くんが突き落として殺したと…」
立花「そうじゃねえよ。そんなことが言いたいわけじゃねぇ。ただ、もしあいつがそうしたんだとしても俺にはアイツの気持ちが理解できる」
そういって、立花は自分の巡査時代の話を始めます。
夕方になると交番の前を通る小学生の少女がいて、その子は何かに怯えたような目で立花を見てくる。それは半年ほど続き、さすがに”単細胞”の自分でも少女が自分に助けを求めていることに気づいた。
ある日、少女を呼び止めて何か困ったことがあるのか聞いてみると一時間ほど黙っていたあと、消え入りそうな声で「お父さんにイタズラされています。助けてください」と。
立花は父親を問い詰めるも、娘は嘘つきだから困っていると笑っていた。
翌日、少女が交番の前を通らなかったため自宅へ行ってみると少女は病院へ入院していることが分かった。父親は、階段から落ちたと周囲には説明していたことを聞き、思わず掴みかかりそうになったという立花。
病院のスタッフに止められなければ、自分は殴り殺していたかもしれない、と。
「警察官を続けて分かったことがある。この世界は1つじゃない。まともな世界と、悪の世界の2つが存在するんだ。悪の世界では普通の神経じゃ耐えられないようなことが平気で起こる。俺たち警察官は、その悪の世界に取り込まれないように、どうにか正気を保っていられるようにしながら悪と戦わなくちゃいけないんだ。でもあまりにも醜い悪を目の前にして正気を失っちまうやつの気持も理解できるんだ。警察官だって結局はただの人間だからな。余計なこと喋っちまった。忘れてくれ」
「その女の子はどうなった?」「え?」「あんたが救おうとした子」「俺が暴れたせいで調査が入って、その子は養護施設に入ることになって。元気でやってるみたいだ。たまに手紙が届く」「良かったね」「ああ」
「もし。石川くんが正気を失ってるとするなら、私たちがこっちの世界に引き戻してあげよう」というミカ。
バー
赤井、サイモン&ガーファンクル、バーテンがいます。
サイモン&ガーファンクルの前に、バーテンが白い液体の入ったグラス置いてったんですけど、これ、牛乳の可能性もある???サイモン&ガーファンクルお酒飲まなさそう。カルピス?なんて妄想する私。
そしてスズキ登場。
石川は何も喋っていないこと、監察官も慎重に進めているらしいと報告するバーテン。
こんなことになったのは、自分の不手際が原因だ。誘拐された男児の毛髪を安藤の家に隠すよう石川に依頼されたが(最終話)、うまく隠せなかったこと。
「安藤のほうが私より一枚上手だったようです。認めるのは悔しいですが」と頭をかき、ビールを飲むスズキ。
赤井「今回の件はきっかけにすぎない。遅かれ早かれ石川は奈落へと足を踏み外していただろう」
ガーファンクル「確かに、このところの安吾くんはおかしかった。導火線に火のついた爆弾のように危うかった」
ガーファンクルも安吾くん呼び!!まぁ、サイモンがそう呼んでるしね、うん。
サイモン「反省会のために集まったわけじゃないよね?」
赤井「そのとおりだ。俺たちのような人間が世間の道理に左右される必要はない。石川が安藤を殺したかどうかなんて、そんなことはどうでもいい。問題は俺たちが石川を信じているかどうかだ」
スズキ「そんなことは考えるまでもないでしょう」
赤井「だとするなら、やるべきことは決まっている。奈落に落ちて暗闇に怯えている石川を救えるのは、暗闇の中を自由に歩き回る俺たちだけだ」
ひー、カッコいい!
警察署
署内の廊下にあるベンチの上で眠れぬ夜を過ごす石川。
そこにキーーーーーンという音。
安藤「話したくなったら、遠慮なく声をかけてくださいね。いつでもあなたの側に居ますから」
いつの間にか寝ていたようです。久高の部下に起こされる石川。朝食を買ってきましょうか、という提案を断ると事情聴取は30分後に開始するというのでした。
容赦ないですね。
市倉は久高に現場周辺の高層マンションを虱潰しにあたって目撃者を探しているが見つかっていない、と報告。
「そうですか、分かりました。引き続き報告の方を宜しくお願いいたします」
「石川の様子はどうですか?」
「かなりショックを受けているようですね」
「アイツは私がこれまで見てきた中で一番真っ直ぐな警察官です。多少行き過ぎた面があっても正義感に突き動かされただけであって、決して本意ではないと思います」
「こういう時、たいていの場合上司は”うちの部下はやってません”て主張するものなんがね。私もこれまで多くの警察官を見てきたので、石川くんが真っ直ぐなのはすぐ分かりました。そして私は多くの真っ直ぐな警察官がふとしたきっかけで道を踏み外す姿も見てきました……ではまた後ほど」
事情聴取
「一晩たって、記憶が整理されましたか?」と石川に聞く久高。
「記憶が曖昧で何も思い出せません」と答えた石川に、「そうですか、困りましたね。現場に行ってみませんか?もちろん任意なので、あなたが嫌なら無理にとは言いませんが、どうですか?」
「……分かりました」
フォンセ洗足
SUZUKI DIGITAL TECHと車体に書かれた車から降りてくるのはサイモン、ガーファンクル、そしてスズキ。
凝ってますねぇ、車も、制服も作っちゃいましたかスズキさん。
10階でおりたサイモン。
廊下でパソコンを開くと、マンションの住人のWi-Fiの鍵を次々と解除。
11階では同じようにガーファンクルも作業中。
そして3人揃って同じエレベーターで下がっていきます。
スズキが「どうでした?」と聞くと、「大量だよ。イレグイだった。みんなWi-Fiのパスワードもっと複雑なものに変えたほうがいいのにね」というサイモン。
「ま、どんな複雑なものでも俺たちが突破しちゃうけどね」というガーファンクル、サイモンとハイタッチ。表情一つ変えず、それを見てるスズキさん面白すぎた。今までも、この2人と組んだことあるのかなぁ。
移動
安藤の自宅があるマンションへ車で移動する石川と久高たち。
ちなみに車のナンバーは品川397 お11−23。
途中、ふと石川が窓の外を見ると車を運転するスズキを見かけました。身じろぎする石川を見つめる久高。
しばらくすると車は赤信号で停止。
キーーーーーンという音がして、また安藤か、という感じで憂鬱そうに目を上げる石川。
歩道橋を渡る人々。
そのうち一人の女性がじーーーーーっと石川を見つめています。信号が青になってもどかない女性。
そう、彼女は幽霊だったようです。
溜息をついた石川に「どうかしましたか?」と声をかける久高。
「いえ、なんでもありません」と答える石川。
CASA黒田
事件現場のマンションに到着。
屋上で何か思い出したことはないか?と聞かれる石川。
「死体は仰向けに落ちていました。つまり、このように前を向いて空中へと足を踏み出したわけではないんです。状況を客観的に判断すると、このようにあなたと向かいあった態勢で落ちていったのは間違えないんです。どうです?そろそろ記憶が戻ってきたんじゃないですか?」
さっきほど車内で、いきなり鋭い目をした石川を見ていた久高。だからこそ、こう誘導したのかな?本当は、幽霊の女性を見かけたからなんですけどね。
石川の視線の先には、さっきの女性が。
「私のことが見えるんですね。私はある男に殺されました。そいつのことを教えますから捕まえてください。お願いします」
うつむいて辛そうな石川に「大丈夫ですか?」と声を掛ける久高。
「ひどく頭が痛くて」「そうですか、では署に戻りましょう」
歩き出した石川に「あなたは警察官ですか?私はついさっき殺されました。早くしないと死体と証拠も消されて捕まえることが出来なくなるかもしれません。あなたにしか頼ることが出来ないんです、お願いです私を殺した犯人を捕まえてください」という女性。
地下駐車場
口笛を吹きながら大きなスーツケースをひいている男性。
トランクにスーツケースを仕舞い車を動かそうとしますがエンジンがかかりませんでした。苛立たしくハンドルに八つ当たりします。
警察署
「署内が慌ただしい感じですね。殺しでもあったんですかね?」と久高の部下に話しかける石川。
「そんなことはないと思いますよ。この事件以外、管内で目立った事件は起きていないはずです」
キーーーーーン。
安藤と思いきや、先ほどの女性でした。
「あなたは警察官なんですよね。だったら犯人を捕まえてください。あなたの仕事、全うしてください」
ここで流れる”越境”が、めっちゃカッコいいんですよね。鳥肌。
久高の部下に「すいません、コーヒーが飲みたいんですが」と声をかけた石川。
部下が出ていくと、「あなたが殺されたのはいつですか?」と女性に問いかけます。
「午後1時頃です」
石川が自分の腕時計を見ると、午後4時55分少し前でした。
「あなたの遺体はまだ発見されていないようです。あなたがいなくなったことを、すぐに気づいてくれるような家族や友人は居ますか?」「いません」
「職業はなんですか?」「デパートの販売員をやっていましたが、ひと月ほど前に辞めました」
どうすべきか悩む石川。
「私の死体を誰かが見つけてくれないと、事件にならないということですね?そんなこと…許せない」
「あなたの遺体は、あなたを初めてみた交差点の近くにまだあるはずです。じゃないと、あなたとこうして繋がれなかったはずですから」
「じゃあ早く見つけに行ってください、お願いします」
「あなたを殺した男の素性と、あなたが殺された場所を教えて下さい」
ああ、いつも石川が戻ってきた!!
マンション
車が故障したので1日でいいから貸してもらえないか?と友人に連絡するも断られてしまった男性。
電話を切って舌打ちをするとスーツケースを開けました。
なかには折りたたまれた彼女の遺体。
「レンタカーを借りてくるから、もうちょっと待っててね。あとでちゃーんと処理してあげるからね」
警察署
「だいぶ落ち着かれたようですね。記憶も整理されてきたんじゃないですか?」という久高。
石川はまっすぐに久高を見つめ「取り調べを拒否します。このまま被疑者扱いをされるのなら弁護士をつけたいと思います」
「穏便に事を進めたほうが、色々と好都合だと思いますが」と石川の方に身を乗り出してくる久高。
「ご存知でしょうが私の頭の中には弾丸が埋まっています」
久高の部下は”公務災害発生報告書”なるものをめくりました。
平成25年12月15日の日付で作成されていますね。おお、石川の生年月日は昭和57年7月2日生と書いてあります。当時31歳。
傷病名:銃創
負傷の部位、程度:右側頭部
今後の見通し:早期に弾丸摘出手術が必要
「弾丸は非常に危険な位置に留まっていて、今この瞬間にでも血管を食い破る可能性があります。医者からは過度なストレスに晒されることのないようにと注意されています。このまま取り調べを続けて、もしものことがあった場合、責任をとっていただけますか?」
石川のセリフの途中から久高は背もたれに身を預け、今度は石川が前に身を乗り出してきます。ここ、好きでした。攻守逆転とは、こんな感じ!と。
「何かを思い出したら、ここに戻ってきて必ず話します。約束します」
一礼して去っていく石川。すぐに久高の部下が1名、見張りにつきます。
「現場に向かうあたりから様子が変わってきてましたね。何があったんでしょうね?」
ええ、幽霊に依頼をされてました。
「私がいないときに、石川と何か話しましたか?」「はい、世間話程度のことですが」「具体的には?」「署内が慌ただしい雰囲気なので殺しでもあったのか?と石川に聞かれたので、そんなことはないと答えました」「慌ただしい雰囲気なんてありましたかね?不思議な男ですね、石川は」